『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』がコンビニの本棚に並んでいるのを昨日見かけました。この本の著者の川端智さんの講演会にたまたま出席してみたところ、認知症の人や認知症に対する認識が、大~きく変わったので、ちょっぴりご紹介します。
認知症の人は「困った人」ではなく「困っている人」
最も心に残ったのが「認知症の人は、周囲を困らせる『困った人』ではなく、その人自身が一番『困っている人』」という言葉です。
認知機能の低下した人たちにとっては、私たちが当たり前に認識している世界が「知らない場所」のように感じるため、不安で不都合な場所と思ってしまうのだそうです。また、私たちの会話も「早送り」しているように聞こえて「会話がわからない」のだそうです。
認知症の人にとっては、いつもいる場所であっても「知らない場所」で、周りの人が会話していても「話している内容がわからない」などの不安から、「同じことを何度も聞く」「急に怒り出す」など(認知症ではない人から見ると)「困った」言動を引き起こすことになります。
講演会では、川端さんが認知症の人とその娘などの一人二役になって、わかりやすく事例を紹介してくれました。また、そういう場合の対応についても、具体的に示してくれました。
認知症の人に「ご飯ですよ」と伝えるには?
×と○の理由は、わかりますか?
認知症の人は視野がせまくなります(双眼鏡を持つように目の周りを手で覆う、またはパーカーのフードを目深にかぶると似た状態になるので、やってみてください)。そのため、前方から手を振って、こちらに注意を向けさせることから始めます。
腕や肩をトントンとたたくのは、認知症の人にとっては見えないところから急に体に触られることになるので、ギャッと驚く可能性大です。
認知症の人が理解しやすい声かけの基本は、
- 動作と言葉など2つのことを同時にやらないこと。
- 視覚情報を先に伝え、言葉を後に添えること。
なので、まず、箸を口に運ぶなどの食べるジェスチャーをして見せて、その後に、言葉で「ご飯ですよ」と伝えます。
「まずジェスチャー、その後に言葉」が意外と難しい
講演ではミニワークが何度かあり、実際に、この声かけを隣の席の人とやってみました。
私の場合は、ジェスチャーと「ご飯ですよ」の言葉が同時に出てしまいました。声かけの順番も、その意味や理由も聞いた後なのに、つい同時に出てしまう。見るのとやるのとでは大違い。簡単そうに見えて、かなり意識的にやらないとできないのだと痛感しました。
認知症の人の言動の原因を理解して、それにあわせた対応をすることで、認知症の人は「わからない」「伝わらない」という場面やそれに伴う不安が減ります。「困った」が減れば、認知症の人にとっても周りの人にとっても、暮らしやすくなります。
理学療法士だけど、認知症のことがわからない
参加者からの「川端さんは、なぜそんなに認知症の人のことがわかるのですか」という質問に、川端さんは「私は理学療法士として認知症の人に接していたのに、認知症のことがわからなかったんです。」と言っていました。続けて、「認知症のご本人に『どういう感じなの?』『わからないから教えて』って聞きまくったんです。認知症の人に教えてもらっただけなんですよ。」とにこやかに話していました。
『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』
この講演で語られた認知症あるあるな事例とその対応方法などは『マンガでわかる!認知症の人が見ている世界』でも知ることができます。
不可解に思える行動の理由がわかれば、対応する人も心が軽くなり、互いが暮らしやすくなります。そんな優しい世界へのガイドブックと言える一冊です。
▼『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界』
認知症の人の不可解な行動のナゾがわかるベストセラー。
▼『マンガでわかる! 認知症の人が見ている世界3』
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